弓道やっててたぶん誰もが一度は考えたことあるのが練習の量と質どっちが大事か、だと思う。
これはよく議論されることだ。
でも実際のところ本当はどっちが大事なのか、また質が大事ならどうやって質を上げればいいのか、量が大事な場合はどんなときかなどについても解説する。
的中率9割目指したい人へ
弓道で練習量と上達速度は比例する?
まず弓道の練習量と上達速度が比例するかどうかについて。
答えは残念ながら比例しない。
以下、某弓道掲示板の書き込みより
2013年に全国優勝した○○高校は学年300人強のうち、200人程度が国公立大へ進学する進学校です。
なので、練習時間も短く、平日はせいぜい20~30射だそうです。
1日20~30射というとかなり少ない練習量だ。
普通の弓道部の学生なら平均は1日80~100射くらいじゃないだろうか?
そんな少ない練習量の高校が全国優勝するんだから、質がいかに大事か、ということがよくわかると思う。
しかし、もちろん、1日100射は当たり前、200射くらい普通に引いてる人で高的中率を維持している人もいるから、練習量で射を安定させている人がいるのも事実。
だから練習の量が必ずしも重要でない、というわけではない。
でも練習量が多いのになかなか上達しない人はたくさんいる。
部内の誰よりも練習してるのに普段練習サボってる奴に負けると嘆いてる人も多い。
つまり
弓道は練習量が少なくても上達する人は上達するし、練習量が多くても上達しない人は上達しない。
それが弓道の性質だと思う。
スポーツにもいろいろあるが、たいていは練習量と上達速度は比例する場合が多いと思う。
でもこと弓道に関していえば、練習量と上達速度はそこまで比例しない。
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弓道の上達速度に練習量があまり関係ない理由
ではなぜ弓道の上達速度と練習量が比例しないのか?
それは弓道の性質によるものだと思う。
弓道で的中率を上げるためにもっとも大事なのは
毎回同じ射をすることで中る射定着させること
だ。
毎回同じ射を定着させるための方法は2つある。
で、この2つどちらがより毎回同じ射を定着させるのにいいか、と考えると絶対に2だ。
なぜなら、がむしゃらに1日200射とか引くより、1回1回、射法八節1つ1つの動作を確かめながら丁寧に20回引いた方が毎回同じ射を再現しやすいから。
逆に1日100射、200射など疲れるほどの本数を引いてしまうと
- 数をこなすうちに引き方が適当になりがちになる
- 後半疲れて動きが鈍くなる
ことにより毎回同じ射はできない。
これが弓道の練習で量より質が大事な理由だ。
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質重視の練習って具体的にどんな練習?
ところで質が大事と言われても質重視の練習って具体的にどうやればいいのか。
まぁ簡単に言うと一つ一つの動作を意識しながら丁寧にやることだ。
それを毎回この1本でチームの勝ち負けが決まることを想定して超集中して引く。
そうすれば一気に1射1射の質がよくなるはずだ。
ポイントは一つ一つの動作を意識することでどこにどう力を入れているのかなどを自覚しながら引く。
それによりここに力を入れると良くなるとか、悪くなるとかを分析しやすくなる。
そうやって分析しながら仮説と検証を繰り返していき、中る射を見つけていく。
これは練習量重視でも達成できなくはないが、質を重視した方が早く達成しやすい。
また弓道の練習でもっとも重要なのはなんだかんだいって集中力だと思う。
練習中の特に弓を引いてる瞬間にものすごい集中力を発揮できれば誰でも驚異的なスピードで上達できるだろう。
本気で集中するためには毎回この一射でチームの勝敗が決まると思って引くといい。
以上、紹介した質を上げる練習はすでにある程度中る射ができてる中級者向けだ。
しかし問題は今の実力ではそれほどいい射が引けるわけではない人。
こういう人は中る射を定着させようにもそもそも中る射ができない。
じゃあどうすればいいのかというと試行錯誤して中る射を見つける必要がある。
そういった試行錯誤段階の人が量より質重視の練習において中る射を早く見つけるためには、いかに自分の射のどこが悪いのかを見つけるかだ。
でもこれも同じように一つ一つの動作を意識しながら丁寧にやればどこが悪いかに気づきやすいと思う。
ただなかなか自分では気づけない場合は、人に見てもらったり、動画を撮ってもらうことも必要だろう。
またそもそもいろんな動作に悪いところがあって修正が大変なときなど根本的に射を見直した方が早い場合もある。
そういう場合は弓を引くより徒手練習 + 巻き藁で修正するといい。
以下の記事でも書いてるが、特に徒手練習は超ゆっくり丁寧にやるとかなり癖の改善に役立つ。
逆に弓道で練習を量やった方がいいのはどんなとき?
ここまで弓道の練習では量より質が重要であると述べてきた。
では逆に練習を量やった方がいい、というケースはないのか?
私の経験上、そういうケースもあると思う。
というわけでどんなときに練習量を増やすべきなのか説明する。
1. 新しい技術を身に付けようとしているとき
たとえば
- 新しく弓返りを覚えようとしているとき
- 先生に教わった手の内を試そうとしているとき
- 大会で見かけた上手い人の会を真似しようとしているとき
など
なにか今の自分の射にはない新しい技術を身に付けようとしているときは、たくさん練習した方が習得が早い。
2. 試行錯誤したいとき
試行錯誤の段階でまだ自分の射のどこが悪いのかわかってないとき。
先にこういうときも質重視で引くことで自分の射の悪いところを見つけやすくなると述べた。
でもぶっちゃけこれは逆に量やった方が早く見つかるケースもあると思う。
たとえばたくさん引いて矢所が下に集中しているとわかれば原因は離れでの緩みの可能性が高いことがわかるし、矢所が前に集中してるなら手の内に原因がある可能性が高いことがわかる。
他にもたくさん引くことで自分の射が上手くいかない原因を見つけられることは多い。
だから試行錯誤中はたくさん引くことで自分の射のどこが悪いのか、どうすれば改善されるのか見つける、というのも常套手段だ。
ただし、これには注意点が一つある。
それはあまりやみくもに引きまくると悪い射が定着してしまうこと。
まぁちゃんと何のために矢数をかけるのかをわかって意識して引く分には大丈夫だ。
3. 調子がいいときの射を定着させたいとき
弓道の練習中、たまに神がかってるかのように調子がよくなることってないだろうか
私はある。
ゾーンに入ったときだ。
まるで弓の神様が自分に乗り移ったかのようにいい射ができ、しかもほとんど的中する。
こういうときはたくさん引いた方がいい。
そのすごくいい射を定着させるためだ。
もちろん、やりすぎて疲れてしまってはダメだが、疲労による影響を受けないギリギリまでたくさん引いた方が定着しやすいだろう。
ただ逆に調子がいいときにゆっくり丁寧に引くことで、その調子がいいときの引き方を確かめ、覚える、という考え方もある。
要は体で覚えるか頭で覚えるか。
しかし調子がいいときというのは長続きしないのでどちらかというと頭で覚えるようにした方がいいと思う。
が、何度も反復して体で覚える方が得意な人もうると思うのでどちらのやり方がいいかは自分では考えるといい。
まとめ
- 弓道において練習量と上達速度は比例しない。つまり弓道は練習の量より質が大事
- なぜ弓道の練習に質が大事かというと、弓道上達に一番大事なことが常に同じ引き方をして中る射を定着させることだから
- 弓道の練習で質を上げるには、一つ一つの動作を丁寧に行うことと、1本1本超集中して引くこと
- 逆に新しい技術を身に付けるときやとにかく試行錯誤したいときなど、単純に練習を量やった方がいいケースもある