ビクは早気の人が無理やり会を持たせようとして起きる射癖のこと。
体が勝手に離れを出そうとするのを頭で無理やり止めている状態。
また暴発はビクによって起きることもあるし、ビク以外が原因で起きることもある。
しかしどちらも非常にやっかいな射癖だ。
今回はビクや暴発の原因と直し方を解説する。
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ビクになる原因と直し方
ビクになる原因は早気であること。
体が勝手に離そうとするのを止めなければ直らない。
ビクを直すためにもっとも重要なことは脳を書き換えること。
会にきたとき、または会にくる前に脳が体に離せと命令する。
この命令を止めない限り、ビクは直らない。
つまり、ビクの直し方は早気の直し方と一緒だ。
会にきたら離さずに会を持つものだということを脳に植え込まなければならない。
そのために必要なことはすべてこの記事に書いているので参考にしてほしい。
精神的な早気の原因と超具体的な克服方法 コツは脳を書き換えること
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暴発の原因と直し方
暴発にはさまざな原因がある。
各ケース別に対処法を解説する。
1. 会で止まっている
会で伸び合いができずに止まっていると、意識的に離そうとしないと離れが出ない。
そうなると無理やり離すしかなくなるため、暴発が起きる。
会から離れが自然に出るのは、あくまで会で伸び合ってるから。
会で伸び合い、かつ適切な取りかけができていれば、伸び合ううちに自然とかけの弦枕から弦が外れ、離れが出る。
伸び合いができてない場合はいろんな原因があるが、そのほとんどは妻手に原因がある。
妻手のひねりや引き方についてはこちらの記事で詳しく解説してるので参考にしてほしい。
妻手のひねりの入れ方 どこをどのタイミングでどうひねるのか?
2. 妻手に力が入っている
妻手に力が入っている場合、会で伸び合いはできるが、伸び合いながら離すことはできず、緩ませなければ離れられない。
妻手に力が入っているということは妻手の力を抜かなければ離れられないということ。
しかし妻手の力で伸び合ってるため、妻手の力を抜くということは伸び合いを止めるということになる。
伸び合いを止めると自然に離れられないため、無理やり離すしかなくなり、暴発やビクの原因となる。
弓道は「弓を引く」、という表現があるように、引くものと思いがちだが、実際は「引き分け」といい、引き分けるもの。
妻手で弓を引いてはいけない。
妻手は最低限のひねりを入れたら、あとは基本的に力を抜いて弦に引かれるに任せるだけ。
弦に引かれつつ、肘を支点に弓の力と張り合ってる状態で伸び合うことで、自然と離れが出る。
3. 妻手で弦を握りしめている
妻手で弦を握りしめている = 親指を引っかけて弦が外れないようにしている、もしくは中指に力を入れて親指を押さえ込んでいる状態。
この状態だと会で離れを出すためには右手を無理やり開かなければ離れられない。
無理やり離すから暴発の原因となる。
怖い気持ちはわかるが、親指は力を抜いてまっすぐ反らせることでしか自然な離れは出せない。
もし恐怖心から弦を握りしめてしまっている場合は、いったん矢をつがえて弓を引くことをやめ、親指を反らせた状態でゴム弓や素引きなどをしばらくやり、段階を踏んで巻き藁→的前と基礎からやり直すといい。
その過程で親指を曲げてしまったり、暴発やビクが出たら1つ前の過程に戻ってやり直す。
そうやって時間をかけて恐怖心を克服するしかない。
4. つまみ引き、あるいはたぐり引きしている
つまみ引きというのは指で弦をつまむようにしたまま引くこと。
弦をつまんでいればその指を開かなければ離れられないため、無理やり離すことになり暴発につながる。
また手首が下に曲がるたぐり引きも同様で、これは手首の力で弓を引いてるから離れが無理やりになり、暴発の原因となる。
ちなみにつまみ引きやたぐり引きになっているかは手首を見ればわかる。
手首が上に曲がっていればつまみ引き、下に曲がっていればたぐり引きで、どちらも手先に力が入っている悪い射癖だ。
何度も繰り返すが、妻手は弦を引くのではなく、弦に引かれるのに任せるだけ。
引こうとしないのだから手首に力が入ることはありえない。
肘の先に糸がついていると仮定してその糸で肘を引っ張られる力と弓が右腕を引く力が均衡しているのが正しい妻手の引き方だ。
それ以外の余計な力を抜けば妻手に関するあらゆる悩みは解消できると思う。
5. 妻手のひねりすぎ
最後に可能性としてありうるのが妻手のひねりすぎ。
妻手を極限までひねると、人差し指が矢を押し出すことにより、矢が弦枕から外れてしまう。
それにより空筈もしくは暴発する。
妻手の正しいひねり方はすべてこちらの記事に書いてるので参考にしてほしい。
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暴発が怖くて引けなくなったときの対処法
あまりに暴発が頻発すると、「また暴発するかもしれない」という恐怖心から弓を正しく引けなくなり、さらなる暴発の原因を招いてしまうことも少なくない。
暴発の恐怖心を体が覚えてしまうとかなり重症だ。
こういう場合、いったん的前で弓を引くことから離れた方がいい。
まずはゴム弓からやろう。
ゴム弓なら矢をつがえないから暴発することはありえない。
しかしゴム弓で暴発するときの引き方をしてしまえば意味がない。
ゴム弓で練習するときはここで紹介いたように妻手の力を抜き、かつ正しくひねった引き方で行おう。
こちらの記事も参考にするといい。
妻手のひねりの入れ方 どこをどのタイミングでどうひねるのか?
しばらくゴム弓だけで引き分け→会→離れの練習をして体が正しい引き方に慣れたら初めて巻き藁に進む。
ただし、巻き藁もいきなり離さない。
まずは会まで引ききる練習をする。
そして会まできたら戻す。
その際
- 途中で暴発しないこと
- 会できちんと伸び合えること
を毎回確認するようにする。
この練習を何度も繰り返し、会にきたときに暴発の恐怖が一切沸かないようになるまで行う。
そして完全に恐怖心がなくなってから離れに挑戦する。
巻き藁で離れができるようになったら、そこからさらに離れに慣れるまでは巻き藁で練習し、十分に慣れてから的前で引く。
こんなふうに段階を踏んで恐怖心を克服すればいい。
まとめ
弓道において、ビクや暴発は非常に怖いものだ。
自分も痛いし辛いが、周りにも心配されて余計な辛いと思う。
ビクや暴発を直すのは恐怖心も伴うためかなり難しい。
だが原因はほとんど妻手にあるケースが多い。
そのため、妻手の正しい使い方を覚えれば直るケースが多い。
ここで紹介したさまざまなパターン別の対処法を参考に、克服していただければ幸いだ。